イタリア・コーディネーターのつぶやき*ポルチーニ茸を求めて

美味しい食材が市場に出回る秋はイタリア各地で
「Sagra」と呼ばれる収穫祭が目白押しです。

ポルチーニ茸に目がない私は、早速、ネットで
見つけたラツィオ州南東部ベッレグラという街
で開催されているポルチーニ茸&タッキエ祭り
(手打ちパスタ)へ向かうことにしました。

不安定な天気が続いていて、前日はゲリラ豪雨に
襲われましたが、その日の朝は太陽が出ていたし、
予報によれば終日快晴。ポルチーニ日和だわ〜と、
朝食も取らず、ポルチーニ受入れ態勢ばっちり
の胃を抱えて車を走らせること1時間ちょっと。

しかし…、長年イタリアに住んでいながらにして
当たらない天気予報を信じた私がバカでした。
そして、ラツィオの、しかも南部の小さな街の
オーガナイズの腕を疑わなかったことも…。

お昼頃到着した街にはすでに駐車スペースはなく、
誘導に従ってへんぴな場所に車をとめることに。
そこで来る気配のないシャトルバスを待つこと30分。
しびれを切らした私たちは、坂道をてくてく街なか
まで歩くことに。
やっと辿り着いた街の広場で食券を買い求め、
料理を受け取るために配給テントの前で1時間
以上並んでいたら雨がぱらぱら。
それでも意味不明に全然進まない列。
時間はすでに15:00。

私たちが買い求めた食券はコース料理で、
ポルチーニ茸の前菜、ポルチーニ茸パスタ、
ポルチーニソースの牛肉、スイーツだったの
ですが、そうこうしているうちにテントから伝言
ゲームのようにやってきた悪魔のひと声…。
「肉が足りないぞ!品切だ〜!」

「っざけんなよぉー!!!」
怒りと空腹は頂点に達し、私たちは買った食券
を即座に払い戻し、でも、ポルチーニを食べず
にまた1時間以上も車を走らせることにどうにも
我慢がならず、片っ端から近くのレストランに
電話するも、時遅しでどこも厨房はクローズ。

「ポルチーニ、ポルチーニ〜!!!」
心のなかで悲痛な叫びをあげながら、
もうどこでもいいやと、電話をかけまくる私。
そして、やっと拾ってくれたレストランが1軒。
ポルチーニ茸のポレンタにありつけたのは
15:30を回っていました…。
あぁ、少なくともポルチーニは食べられた。

その頃、店の外では、まるでバケツをひっくり返した
ような土砂降りが。私は、私のさらに後ろに辛抱強く
並んでいた人たちのことを思い、決めたのでした。
私のイタリア地図から「ベッレグラ」を削除しようと。

アッティコ・ローマ
村本幸枝