その一言が命取りのイタリア

まだイタリアに住み始めて間もない頃の話です。

山積みの仕事を片っ端からやっつけていたある日の朝、
突然マンンションのドアをノックする人が…。

最近は少なくなりましたが、
以前は「ガスの点検員」や「物売り」、
「勧誘員」がいきなり訪ねてくることがあり、困ったものでした。

でも、そんな時でも、けっしてドアを開けてはなりません。

特に女性ひとりの場合は危険です。

このようなトラブルが多発したのか、
一時期、ガス料金の請求書が入った封筒には
「我々が点検のために人を送ることはありません。

点検員と言われても絶対にドアを開けないように」などと、記載されていたこともあったくらいです。

話をもとに戻しますが…、
玄関まで行って「どなたですか?」と尋ねると、なにやら宗教の勧誘らしい。

その時、私は抱えていた仕事で頭が混乱し、とてもイライラしていたので、
食い下がる彼等に「Qui, c’e’ un casino!」と、大声でひと言返しました。

すると、それまでドア越しにあの手この手で一生懸命勧誘していた声が
ぴたりと止み、いきなりシーンとした沈黙状態に。

そして、彼等は無言のまま静かに退散したのでした。
で、翌日その話を友人にしたら、彼女が大笑い。

「Qui, c’e’ un casino!(ここは混乱状態なのよ!)」と言ったつもりが、

どうも「Qui, c’e’ un casino!(ここは売春宿なのよ!)」と、
伝わっていたらしいのです。

口語(俗語)では「混乱」を「casino(カシーノ)」と言うことがありますが、
「casino」は実は「売春宿」の意味もあるのです。

その時はまったく気づかず、ふっと口から出たのですが、
同じ「混乱」という意味の「caos」を使うべきでした…。

でも、そのひと言で長々と押し問答をせずにすんだのですから、
思わぬ効果はあったわけです。

そう言えば、私の友人も正統なイタリア語でボーイフレンドのお父様に、
「お父さん、バールでコーヒーでも飲みましょうか」と言っているつもりが、
実のところ、ローマ弁で 「父ちゃん、バールにコーヒーでも飲みにいくっぺ!」と

言っていたらしい…しかもカワイコぶって…なんて話も耳にしました。

まぁ、外国人の女の子だから「simpatica(お茶目)」ということで

許してはもらえますが、「女の子」とはどう考えても呼べない歳で
これをやると、ちょっと厳しいものがありますよね…(笑)。

Attico Italia 村本幸枝

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