イタリアのDV状況

11月25日は国連が定めた「女性に対する暴力撤廃国際デー」で、
夫やパートナーからの暴力、性犯罪、セクシュアル・ハラスメント、
ストーカー行為など、女性に対する暴力をなくし、
女性の人権を守るさまざまなイベントが世界中で行われました。

日本でも毎年行われいて、
昨年は11月12〜25日までの約2週間、全国で開催されてました。

悲しいことにイタリアでも年々女性への性的虐待や暴力が
増えています。

昨年の1〜6月までに、男性に殺害された女性の数は57人。

22,4%が別れた夫や元同棲相手。
13,7%が元パートナー。
7,5%が夫か同棲相手。
5,9%がパートナー というデーターが出ています。

被害の最も多い年齢は16〜54歳で、
内38%が25〜34歳。
35%が35〜44歳。
33%が16〜24歳。
32%が45〜54歳。

地域別に見ると、特に中部イタリアが多く、
州の女性の34,7%が性的もしくは暴力行為を受けていると
されています。
全国平均(31,8%)よりも多いという数字が。

今日のイタリアでは、
2日おきに1人の女性が家庭内暴力で亡くなっていると
言われています。

2000〜2005年の間に起きた家庭内殺人事件は1190件。
うち1081件は被害者が女性だったそうです。

昨年度だけでおよそ2百万人の女性が(15〜70歳)、
パートナーもしくは元パートナーから性的虐待もしくは
暴力を受けたと、報告されています。

そして、離婚をした女性もしくは別居している女性の64%が
なんらかの暴力を受けているそうです。

レイプ件数は33万6千人、未遂件数は26万7千件という
恐ろしい数字が出ていて、イタリア国立統計研究所によると、
あくまで報告されている件数なので、
実際はもっと多いと、考えられているようです。

また、被害者の46%が大学卒者だったというデーターから、
高学歴の女性ほど被害が多いという事がわかります。

幼児虐待も右上がりで、
16歳以下で性的虐待を受けている子供の割合は6,6%と
発表されています。

女性への虐待同様、なかでもトスカーナ州が多く8,3%。
3件に1件は親や親戚による虐待を受けているようです。

現在、イタリアではストーカー行為に関しては
最高約4年の懲役が課され、殺害した場合は終身刑になります。

ストーカーの犠牲になった女性のための精神衛生コンサルタント
活動をしている心理学者のアンナ・ボールドリーは次のように
呼びかけています。

「ストーカー行為を受け始めたら何があってもそれに応じず、
すぐに相談受付窓口に連絡をすること。

例えば、“私をほっといてよ”というようなメールであっても、
相手はあなたが自分と連絡を取りあいたいと勘違いします。
絶対に返事はしないように。」

イタリアでは女性に対する性的犯罪に関する法律を一般犯罪と
分ける方向で、虐待に対する保護案が上院を通過すれば、
支援金として年間2千万ユーロが見込まれています。

トスカーナ州では地元の各機関や地域医療事業体と
相談センター間にネットワークを構築することで
犯罪の予防線を張るという方向でいると、発表しています。

明るいアモーレの国、イタリアにも、当然ですが、
こういう暗い側面はあるのです…。

フィレンツェ在住:中林紀子

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