諦めの夏…

経済危機とインフレでバカンスが大好きなイタリア人の多くが
夏の旅行を諦め、いっぽうで、ユーロ高と物価高のため、
イタリアを訪れる外国人旅行客が減少しているとのこと。
今年の夏はイタリアの観光・旅行業界にとって
「ブラックサマー」だったみたい。

経団連のデータによると、今夏イタリアでバカンスを過ごす
外国人の数は昨年に比べ、約287万人の減少だとか(6.7%減)。
加えて、本来、国内でバカンスを過ごすのが好きなイタリア人の数も
昨年と比較すると約270万人少ないそうです(5%減)。
バカンス自体を諦める、または国内より物価の安いスペインや
ギリシャなど、近場の海外で過ごす、という傾向にあるようです。

合計すればその数500万人強。
ホテル、レストラン、お土産物屋、美術館、旅行会社等々、
本来なら稼ぎ時であるこれらの業種が大きなダメージを受けたのは必須。
ガソリンの高騰が拍車をかけ、車で移動するのが好きなイタリア人の
生活スタイルすら変わりつつある始末です。
ちなみに現在ガソリンは1L=1.65E前後(約280円)から
ちょっと下がって1L=1.56E前後。

もっとも打撃を受けているのは海水浴場らしく利用客45%の減少。
もはやデッキチェアーやパラソルを借りる人は少なく、
平日や土日の午後からはパラソル&デッキチェアー貸し出し料がお得になる
ハッピーアワーまで出現するほど。

イタリア人の5人に1人はバカンスをあきらめ、
平均17日間のバカンスの長さは14日間に減少、
料金の高い7月と8月は避けて9月にバカンスを取るなどの傾向に。

夏のバカンスはひと月まるまると決まっていた
10年前のスタイルはもはや崩壊し、長期バカンスを楽しめるのは
全体の1%程度になってしまっているのだそう。

4人家族がバカンスに使える予算は1850ユーロ(約33万円)で
昨年に比べ115ユーロ減なのに対し、8月の半ばに
1週間の国内旅行をしようとしたら、
少なくとも3000ユーロ(約53万円)は覚悟する必要があるそう…。

苦肉の策で旅行会社が打ち出したのが、
「まずはバカンス、支払いは1年ローンで」というもの。
本業の旅行だけでは稼げなくなった今、多くの旅行会社が
ローン会社と組んで金融業にも乗り出しているというのが現状。

同じ現象は自動車にも見られ、新車販売を促進し、
利子で稼ぐべく、多くの企業が新車購入者に対し、
ローンを提供しています。
なかには支払いは半年後からというキャンペーンもあるほど。
いったい、今後どうなっちゃうのか…ちょっと心配です。

アッティコ・ローマ
村本幸枝

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