帰ってきたぜ、イタリア

ローマベースの生活からイタリアと日本
を行き来するライフスタイルに変えて、
早いものですでに10年ちょっと。

ずっとイタリアにいたら見過ごしていた
であろうことも日本との行き来を始める
と目につくことが多々出てきます。

「あ~、イタリアに帰ってきたんだ~」
と、つくづく実感した今回の出来事。

飛行機を降り立ち、出口方面へ向かい、
辿り着いた空港シャトルのホーム。
着いた瞬間に1台行ってしまったので、
空のシャトルが待機している反対側の
ホームで待つことに。

もうすぐドアが開きます、と繰り返し
表示されているのにいっこうにドアが
開く様子はないし、その間にも次から
次へと到着する旅行客でホームは
瞬く間に大混雑になってしまいました。

「次にも乗れなかったらいやだな…」
長年イタリアに在住する者特有の嫌な感が
頭をよぎり、反対側のホームにもすぐさま
対応できる位置に移動した私。

案の定さっき出ていったシャトルが戻って
きてそっちが先に出発してしまいました。
早々とあちら側でお行儀よく並んでいたのに
後発のはずの先発シャトルに乗れなかった
気の毒な人々を横目にしながらも、
とりあえず私は乗車に成功したのでした。

そのとき、押し合い圧し合いで乗り込んできた
イタリア人がため息まじりにひと言。
「あ~、イタリアに帰ってきちまったぜ」
「だよね~!」と握手を求めたくなった私。

そして、その後に待ち受けていた関所は入国審査。
長い列ができているにも関わらず、窓口を増やす
こともなくおしゃべりに花を咲かせている
(としか見えない)警官たち。

不況なんだからさぁ、こうやってイタリアに来て
お金を落としてくれる旅行客を大切にしなきゃ~と
思いつつ、まわりを見ると行儀の悪い外国人の山。
後方からがんがん押してくるわ、列に割り込むわ、
文句を言っても聞く耳持たないわ、で、
到着早々、私はどっと疲れてしまったのでした。
でも、毎回繰り返しますが、それでもイタリアに
いることを選んでいるのはこの私。
文句を言えた義理ではないのも重々承知しています。
でも、時々愚痴りたくなるのですよ~。ご勘弁!

アッティコ・ローマ
村本幸枝