イタリアの就職事情

ご存知のとおり、不況に苦しむイタリア。
少し前のメルマガで触れたかと思いますが、
現在イタリアでもっとも引き合いのある職業は両極端。

ひとつはバイリンガル(数カ国語操れればなおよし)の
国際企業弁護士&会計士。そしてもうひとつの職業が、
お年寄りの身の回りの世話をする『BADANTE』と
いわゆる家政婦さん『DONNA DI SERVIZIO』。

介護士免許を持っていたり、家政婦協会から派遣される
専門家ではなく、そのほとんどは東欧や北アフリカから
イタリアへ出稼ぎにきた女性たち。

その中間の職業はほぼ皆無の状態です。
地方自治体は合併を余儀なくされているし、
商売をたたまざるを得ないお店や工房、中小企業も多々。

ローマ市内のショッピング目抜き通りのひとつである
コラ・ディ・リエンゾ通りは家賃は跳ね上がり、
客は減りで、先日のニュースで店じまいをした
店のオーナーがインタビューを受けていました…。

そんななか、繁盛し始めたらしいふたつの商売が…。

ひとつはずっと以前、ある雑誌で取材&執筆をした
ことのあるローマの料理学校。この学校はプロ向け、
アマ向け、ピッツェリア、パスティッチェリアなど、
様々なコースを設けているのですが、最近、プロ向け
コースが大人気とか。それもここ1年くらいで。

そして、もうひとつも同じく学校。
こちらはプロのサルト(仕立屋)を養成する学校。
ファストファッションに走る一般的な消費者と
仕立てを好む富裕層。消費者が二極化しているなか、
職人の数はどんどん減っているのがその理由だそう。

小さな家族経営のレストランをオープンすべく、
サラリーマンの夫とともに料理学校に通う主婦。
これからは手に職と、裁断や縫製を学ぶ若者。

飲食の仕事は辛い(とくに厨房)からイヤだ、
裁縫を習うなんて時代遅れ、と、
いずれも全てに勢いがあった’80年代から’90年代
には見向きもされず、そのほとんどは外国からの
出稼ぎ組で補われていた職業ですが、それがこの
ところ人気があるとは世の中も変わったものです。
その内『BADANTE』や『DONNA DI SERVIZIO』
もイタリア人、そんな時代が来るのかも?!

アッティコ・ローマ
村本幸枝