イタリア撮影体験談 in 各駅

WOWOWで放映予定の『レイルウェイ・ストーリー』
イタリア編の撮影で4週間ほど、鉄道を使ってイタリアを
縦断してきました。

今回の撮影では各駅の撮影許可を取るのにかなり苦労
しましたが、その後の各駅での撮影ではお国柄
(じゃなくて土地柄?)が克明に現れていて、
同じ国と言えども、その違いをあらためて実感しました。

私たちがこの日のこの時間にこの駅の撮影をするよ、
ということは、すでに各駅、各関買会社、鉄道警察等々、
ものすごい数の機関に連絡が行っていたはずなのですが…。

(少なくとも私がもらった国鉄発行の『撮影許可書』
にはそれらの機関名がつらつらと記載されていた…)

ところが、ホームに三脚を立てた瞬間、係員がすっ飛んで
来るという駅もあり、私は常に撮影許可書を片手に、
『控え!控え!これが目に入らぬか!』と、黄門様の
印籠のごとく、A4の紙切れ2枚をちらつかせなければ
ならない場面がしばしば。

そこで『はっ、はぁー!これは大変失礼致しました』と、
控えてくれればよいのですが、通常は『ん? 何これ。
こんなの聞いてない』から始まり、場合によっては撮影
を中断させられることも。

ローマテルミニ駅ではまず国鉄職員が、その次に警官が、
そして民間警備員が、最後にカラビニエーリ(軍警察)が
『君たち、撮影ダメ、ダメ!』のオンパレード!

ナポリ中央駅では私がちょっと目を離した隙に、
カメラマンが二人の男に囲まれていたので、
慌てて駆け寄ったところ、
一人は目が据わっていて完全に行っちゃってる感じ。
いっぽうの一人は対照的にきちんとした身なり。

『自分は私服警察官だ』と警察手帳を差し出すので、
『あっ、これよくあるパターンのペア泥棒だ』と、
ピーンと来た私。

『あんた、本当に警察なの?!』
『これ、偽物の警察手帳じゃないの?!』と、
目を皿にして手帳を見つめながら詰めよったところ、
実は行っちゃってる人にからまれていたカメラマンを
助けに来てくれた正真正銘の刑事さんだったのでした…(爆)。

ちょうどストにぶつかってしまったバーリ中央駅では、
どの電車が運休になるのか、確認に行ったところ、
私の質問はそっちのけで、駅長含む職員全員が撮影の
ことはまったく聞いていないぞ!と大慌て。

話しが長くなりそうなので、またまた印籠を取り出し、
コピーを取ってもらい、運行する電車の情報だけもらい、
『後はそちらで本社と確認して下さいね〜。私、時間が
ないから』と告げ、『シニョーラ〜!』と背後で呼ぶ声
をぶっちぎり、足早に駅長室を後にしたのでした。

シチリアのメッシーナ駅は先日のメルマガどおり火事騒動。
アンコーナ駅は、唯一、撮影中に担当官が同行してくれるも、
飽きちゃったのか、『見たところ、僕がいなくても君たち
だけで撮影できそうだから』と、途中退散。
同行中もほとんど携帯電話から離れず(笑)。

北上するとだんだん様相は変わってきます。

フェッラーラ駅では、撮影の途中でこちらを目指して
ホームを歩いてくる警官3名を目にし『また印籠だぁ…』と、
バッグからごそごそと撮影許可書を取り出そうとしたら、
『撮影ご苦労様。全て承知していますから』と、
わざわざ挨拶に来てくれたのでした。

ヴェネチア駅になると、誰にも邪魔されることなく、
楽チンな撮影。誰も気づかないのかしら…?と、
思っていたら、近くでホームを掃除していたおじさんが
同僚に『日本のテレビの撮影だよ』と、番組のタイトル
まで教えているのにびっくり!

清掃職員の方々にもきちんと話しが通っているのね!
と、静かなる感動で心が震えた私でした…(笑)。

メッシーナ駅火事騒動の一件はこちらから!

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アッティコ・ローマ
村本幸枝