イタリア タクシーの自由化

連日、ストを繰り返しているイタリアのタクシー。
スローガンは『自由化反対!』

先日、ミラノでの取材を終え、
ローマへ戻るときのこと。
リネーテ空港へ向かうため、
ミラノ中央駅でタクシーに
乗車したら、とても感じの
よい女性ドライバーだったので、
なんとなくおしゃべりを始めた私。

その日は日曜日。
夫婦共働きでご主人も仕事 (ご主人もタクシードライバー)。
小学生の娘はおばあちゃん(自分の母親)に預けてきたのだとか。
本来なら家族団らんの日ですよね…。

イタリアのタクシーはそのほとんどが個人タクシーです。
その彼女も8年前に銀行でローンを組んで、タクシーの
ライセンス(ミラノ市発行)を15万ユーロ(1500万円)で
購入したそうです。ローン返済まであと2年。

イタリアでは各市がタクシーのライセンスを発行していて
その数には限りがあるので、すでに発行されているものを
売買したり、保有者が自分は引退し、他人にライセンスを
有料で貸したりしています。

人口や観光客の数、ビジネス頻度の高さは都市によって
異なるので、それに相応しい数のライセンスが発行される
わけです。数に限りがあるため、大都市発行のライセンス
は価値が上がります (ゴルフ会員権のようなもの?)。

今回政府が提案している自由化とは、そのライセンスを
廃止し、資格さえ取れば、どの街でもタクシー業に
参入できるといった内容のものだそうです。

「失業率が高いこのご時世、仕事のない人が溢れている
から自由化は譲ったとして、私のように高額を支払って
ライセンスを手に入れたドライバーたちの立場は?」
(もっともな言い分)。

ライセンス代を返せとは言わないけれど、ガソリン代や
保険料でその分を還元するような措置を取ってくれなきゃ、
怒りがおさまらない! というわけです (ごもっとも)。
まぁ、これは彼女の意見でかなり穏健派。
多くのドライバーは自由化そのものに反対しているよう。

高い保険料 (日本の倍以上高い)、年々上がるガソリン代、
車のメンテ代やライセンスのローンを差し引くと手元に残る
のはほんの僅か…嘆く彼女を見て本当に気の毒になりました。

リナーテに到着してからも話しが止まらなくなちゃって
延々と訴えて続ける彼女…。
(早めに空港に着いたからよかったけど…苦笑)

ちなみに、私が現在の車を買った当時 (6年ほど前)は
ガソリンを満タンにして55ユーロ程度だったのが、
今年に入って満タンにしたら85ユーロ近く(ため息)。