宝の持ち腐れ in Italia

アッティコと、その姉妹会社イタルメディアは、
イタリアで雑誌やテレビなどの撮影コーディネート
を手がけていますが、遺跡や美術館を撮影する際、
撮影許可料の他に、現場に同行する美術館や遺跡側
の監視員の人件費を請求されることがよくあります。
(意味もなく2, 3人ついて来ておしゃべりに花を咲かせ
ていることがしばしば…南に行くほどその傾向は強い)

閉館日とか早朝や深夜など、勤務時間外の撮影なら
まだしも、開館時間中の撮影なのにどうして人件費
が発生するのか、いつも不思議だったのですが、
そういうことだったのね、という新聞記事を発見。

イタリア全国紙『La Repubblica』ローマ版によると、
すでに修復を終え、一般公開が可能であるにも関わらず
多くの遺跡の一部が閉鎖されているのは、実は監視員が
足りないかららしい (ポンペイでよく見かける光景)。
どうして監視員が不足しているかと言えば、
単純に雇用するお金がないかららしい、です。

現在ローマで開催中(9/29まで)のイタリア人アーティスト
17名によるグループ展 “Post-Classici” はフォロ・ローマノ
やパラティーノの一部を展示会場として利用していますが、
そのひとつであるStadio Palatinoは修復を終えているのに
監視員不足という理由から何年もクローズしていたそう。
そして、企画展終了とともにまた閉鎖に追い込まれる
可能性が高いようです。

それよりも何よりもこのままでいくと、現在、一般公開
されている遺跡も閉鎖のリスクを抱えているのだとか。
オスティアを含むローマの遺跡や美術館で監視員として
働くスタッフの数は400名程度。すでにその時点で必要
人数の半分らしいです。しかもその大半は60代。
あと数年で定年退職を迎えるにも関わらず、
退職者5名につき1名の雇用しかできないのが現状だそう。
同様のことが監視員に限らず、文化庁所属の考古学者や
建築家にも起こっているそうです。

素晴らしい芸術や文化遺産、美しい自然と心地よい
天候に恵まれているイタリア。彼等が持つそれらの
観光資源を上手に活用すれば、それだけで国民全員が
食べて行けるのではと思うのは私だけ?
(いえいえ、私のまわりのイタリア人も同意見です)
連日、コロッセオに長蛇の列をつくる旅行客から得る
入場料はいったいどこに消えてしまうんでしょう?

まぁ、新しいものをつくるよりも古いものを維持する方
が圧倒的にお金はかかるのでしょうけど、スイス人とか
ドイツ人みたいにオーガナイズ力のある民族に文化遺産
の運営を委託してみたら面白いかもしれないですね〜。

そんなときにふと思い浮かんだのが、ずっと以前、
イギリス滞在中に新聞で目にした『天国』と『地獄』の話。
すでにメルマガで書いたことはありますが、再び。

天国とは、
料理人がフランス人で
技術者がドイツ人で
警官がイギリス人で
恋人がイタリア人で
国を取り仕切るのがスイス人

地獄とは、
料理人がイギリス人で
技術者がフランス人で
警官がドイツ人で
恋人がスイス人で
国を取り仕切るのがイタリア人

アッティコ・ローマ
村本幸枝